BLOG
2022/12/13 00:51

宝石の処理の中には「エンハンスメント」という、宝石の品質を〝改善〟するために伝統的に行われている処理があります。
代表的なところだと、ルビーやサファイアの加熱処理です。
こちらは宝石の魅力を引き出すために古くから慣習的に行われていて、記載がなければ通常行われている処理で特に問題とされていません。
(ルビー等の場合、非加熱未処理のものが特別に貴重なのであって、加熱している品は価値が低いということはありません。)
もう一つ、「トリートメント」と呼ばれる処理があります。
こちらは人工的に宝石の品質を〝改変〟する処理で、宝石としての価値は大きく下がります。
ルビーやサファイアでいうところの含浸処理、ベリリウム拡散処理等です。
エメラルドのオイル含浸処理は「エンハンスメント」扱いされます。
ルビーの含浸はトリートメントでエメラルドの含浸はエンハンスメントなの??と混乱してしまうところではありますが、エメラルドは「無傷のエメラルドと欠点のない人間はいない」という格言があるほど、インクルージョンが多い石であるため、見栄えを良くするために古くからオイル含浸が当たり前に行われています。
ただし、エンハンスメント扱いをされるのはカラーレスオイルに限り、色のついたオイルや樹脂等の含浸があった場合は着色、つまり「トリートメント」として扱われます。
上記のように、何がエンハンスメント扱いされ、何がトリートメントとして扱われるのか、その宝石によって異なる場合がありますので、ご注意ください。
必ずしも処理が悪いというわけではなく、処理の内容や価値について十分に理解して納得した上で、大きくて見栄えの良い処理石をアクセサリー感覚で楽しみたい場合等にはトリートメント石は重宝すると思います。
問題なのは、黒色処理(加熱処理・着色処理)したエチオピア産オパールを「ブラックオパール」、
含浸ルビーを「加熱+α処理」などと表記して、高価格で販売している業者が存在し、騙されてしまう方がいることです。
ネット上でもそういった業者が見受けられますので、十分にご注意ください。
宝石という一般の方からは価値が測りにくいものを販売する以上、店側は常に誠実であるべきだと考えています。
当店では基本的には「エンハンスメント」までの石を扱っています。
稀にトリートメント石を扱うこともありますが、処理の内容は明記致します。